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後遺障害の認定手続

■後遺障害の認定手続

 
むち打ち症となり、治療を継続していても一向によくならない。やがて加害者の保険会社から、あれやこれやと連絡がくる。

 「担当医師に聞いたら、相当改善しているといっていた。これ以上治療費は支払えない。」などといってきます。それまで毎月休業損害を払ってくれていたのに、支払が止まることもあります。

 最近は、事故の当初から健康保険を使ってほしい、といってくる損害保険会社もありますが、自由診療も多く行われています。自由診療は、労災や健保と違い、診療の一点当りの単価が決められていません。その名のとおり自由に決められます。とはいっても、約倍前後だと思います。

 病院の経営にとっては、ありがたいことですが、病院としても、それをいつまでも続けるわけには行きません。ある時点で症状固定としなければならないことを、医師はよく知っています。

 以上の事情がありますので、医師も損保会社の圧力を無視する訳には行きません。「むち打ち症」で他覚症状(レントゲンやMRI検査による異常が客観的に理解できるもの)が無ければ、無理やり治療を引き伸ばすことはできないものです。

 やがて、痛みや痺れを残したまま、症状固定を宣告されてしまいます。

 【症状固定】というのは、
 これ以上治療を継続しても完治せず、その改善効果が見込めない状態で固定したことを言います。

 悪いところが残存したまま、固定してしまった、ということは、当然『後遺障害』として認められそうなものですが、それがそのようにならないのが難しいところです。


【症状固定の図】

【症状固定になったら】
 先ほども定義しましたが、これ以上治療を継続しても完治せず、その改善効果が見込めない状態で固定したことを言います。ということは、もうこれ以上治療を続けても意味がない、ということになるのです。
 
 
★症状固定の時点から、保険会社は治療費を一切払ってくれなくなります。

 定義から出る当然の結論ですね。それでも痛みがひどく、治療を継続する人がいますが、その場合は健康保険を使って、3割を自己負担で通院しています。

 同じ痛みを残していても、後遺障害に認定されるか否かは、賠償面で言うならば“天国と地獄”ほどの差が出てしまいます。非該当なら、症状固定以後の賠償はゼロなのです。


■後遺障害の認定手続

 後遺障害の認定を具体的にどのように行うか、方法は二通りあります。その前に、どこが具体的に認定をするのかについて説明します。
 
 後遺障害の認定は、「損害保険料率算出機構」(以下、算出機構)が行います。算出機構は、その前身である損害保険料率算定会と自動車保険料率算定会が統合し、平成14年(2002年)7月1日に、新たに業務を開始した料率算出団体です。
 算出機構は、「損害保険料率算出団体に関する法律」に基づき、損害保険業の健全な発達と保険契約者等の利益の確保を目的として設立されています。

手続の二つの方法

1.被害者請求
 被害者が直接、加害者側(相手)の自賠責保険の保険会社を通じて、算出機構に書類を送り、後遺障害の認定手続きを行うものです。これが本来の姿なのですが、一般的には次の事前認定手続が圧倒的に多いものです。

 加害者が、任意保険に加入しておらず、自賠責保険だけの場合や、被害者といえども過失割合が高くて、相手の任意保険会社が動かない場合に、直接自分が手続きをすることになります。

 被害者が直接手続きを行うわけですから、手間がかかります。初診時の病院へ行きX−PフイルムやMRI画像を借りたりして、算出機構に送らなければなりません。

 最初の後遺障害診断書を、自賠責の保険会社に送りますが、結果もその保険会社を通じて送られてきます。

2.事前認定
 加害者側保険会社が行うやり方です。任意一括事案(加害者側の任意保険と自賠責とセットで対応してくれる場合のこと)で、加害者側が、被害者の後遺障害の認定を求めてくれる場合のことを言います。

 保険会社の手馴れた担当者が動いてくれますので、一切被害者は手間がかかりません。

3.認定結果の差異
 被害者請求であれ、事前認定であれ、その結果については変わりがないように思います。そもそも認定するのは、算出機構ですので、やり方によって出てくる結果が違うということはないようです。
 

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