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    成年後見法の概要について

 成年後見といっても、まだできたばかりで馴染みが薄いと思います。

 最初に具体的なお話をしますので、そこでぼんやりとでも、どのようなものかをご理解いただければ、と思います。

 もしも、高齢の親が脳梗塞で倒れてしまい、判断能力を失った、と仮定します。判断能力を失うとは、具体的に言いますと、自分でお金を持って、ほしいものを買物に行くことができない状態、と考えていただければよいかもしれません。

 自分の体で、欲しいものを買いに行けるかどうか、ではありません。欲しい商品の対価に見合うだけのお金を、ご自分の意思で支払い、お釣りをもらってくる、という基本的な行為ができるかどうか、なのです。

 もしそれができない、しかも、いつもできない状態のことを、法律では

    “精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある”

      といいます。

 このような状態を「後見類型」といい、それより軽くなるに従い「保佐類型」、「補助類型」と呼びます。

 被後見人は、ほとんどご自分で重要なことを判断することは困難になります。これを、法律的な制度として、人権を尊重しながらフォローする仕組である、とお考えいただければ理解しやすいかも知れません。

 具体的な事例でご説明します。

★高齢な方が、ある程度財産を持っていて、急に倒れて判断がつかなくなりました。病院への費用の支払、施設への入所、ご自分の財産の管理など、ご自分が生きていくためには、どのような判断をして処理をして行けばよいかの判断もつきません。

 酷い場合は、子供や他の親族がよってたかって、その財産を食い物にしてしまう場合もあります。

 又、こんな酷い例もあります。
ある知的障害を持つ人のところに、お金を借りに来る従兄弟がいます。もし被後見人としてなっていなければ、それを取消すことさえできません。民法第9条で保護されないからです。恐ろしい世の中です。そういう人を狙ってものを売りにくる商人もいます。

 それらの害虫から、身を守ってやらなければいけません。尚且つ、本人の財産を本人のために、無駄な出費を抑えて管理していかなければなりません。
 このことを法的に取り決めたのが『成年後見制度』であると理解してください。

言い方を変えて説明しますと、それまでの制度が無能力者のレッテルを貼って社会から排除するのを主目的としていたのを改め、高齢者や判断能力の十分でない人びと(程度の類型で後見、保佐、補助に区分されている)の人権を最大限重視して構築された仕組といえるものです。


後見人はどのような職務を行なうのか
図で示すと

 これで、法定後見制度の大枠をご理解いただけたと思います。

高齢化社会とともに、ますますこの制度を利用する人が増えてくると思います。


民法が改正され、それまでの禁治産、準禁治産の制度から成年後見制度になってから5年目になっています。正確には今年の4月になると6年目となります。開始から4年間の数値を概観してみましょう。



後見開始の申立ベースで、初年度7,451件だったのが4年目は14,462件で約倍増しています。それに比して、保佐や補助は非常に数が少ないという状況です。

後見人となった人と本人との関係を見ると、子が圧倒的に多く約3割を占め、次に兄弟姉妹、親、配偶者その他親族となっています。それらで82.5%を占めています。

最近では、親族の後見人が本人(成年被後見人)の財産を本人のためではなく、自分自身やその家族のために消費してしまう、という問題がでて、追加的に専門職後見人が選任される例が増えているのも現実です。

 いろいろ多くの問題を抱えながらも、現実的には後見人がいなけければ、不自由極まりないのも事実です。例えば、被後見人が高齢のため突然脳梗塞などで判断能力がなくなってしまうと、それまで銀行に預けていた定期預金ななんかをおろす事さえできない場合もあります。
 後見人が選任されても問題はあるけれども、病院が医療行為をするにも同意を与える人がいないと病院は困ってしまいます。

判断能力をなくしてしまうという人は稀ではありますが、日本全国で見ると成年後見を必要とされている方々は、痴呆性高齢者149万人、知的障害者46万人、精神障害者259万人の合計454万人といわれています。にも関わらず活用している人は4万人に過ぎないのです。

 世の中、ますます法的な整合性を求められる時代です。適法な行為でなければ後々に取消されたり、損害賠償されたりする時代だからです。

 今後ますます高齢化が進む中にあって、一人一人が法定後見制度についての知識をもたなければならない時代がきたのです。
 


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 ●任意後見と成年後見制度の違いの図を参考にしてください。